自民と維新の「守りの連立」──いま、最も現実的な政権再編とは

2025年7月現在、自民党は衆参両院で単独過半数を維持できない状態にあります。これまでは公明党との連立によって多数派を形成してきましたが、その枠組みに陰りが見え始めています。
そんな中、現実的かつ静かな形で浮上しているのが──
「自民×維新」連立案。

この連立は、攻めの姿勢ではなく「守りの連立」。しかし、それこそが今の政局には最もふさわしい処方箋です。

維新の一部に連立容認論、「副首都構想」実現狙う…自民には渡りに船「最も組みやすい相手」

■ 自民にとって維新は「最も飲みやすい野党」

維新の会は、

  • 行政改革
  • 経済成長重視
  • 憲法改正への前向きな姿勢

といった面で、自民党の保守系改革派と価値観を共有しています。
立憲民主党や共産党のように反自民を掲げる勢力とは、そもそも組む余地がない中で、維新だけは現実的な連携が可能な野党です。

特に石破政権が求心力を失っている現在では、続投にせよ降板するにせよ、野党に味方を作る必要に迫らています。

自民党と維新の会の政策共通点

経済成長と規制改革: 両党ともに経済成長を重視し、そのために規制改革が必要であるという認識を持っています。特に、成長を阻害する「既得権益」の打破を掲げる点で共通しています。

外交・安全保障の強化: 日本の安全保障環境が厳しさを増す中で、外交と安全保障体制の強化は両党の共通の政策課題です。防衛力の強化や、国際社会における日本の役割拡大を志向しています。

憲法改正への意欲: 両党ともに憲法改正に積極的な姿勢を示しています。特に自衛隊の明記や緊急事態条項の整備などは共通の論点となりえます。

行政改革: 無駄の削減や行政のスリム化、公務員制度改革など、行政改革の必要性については共通の認識があります。

日本の政党である自民党と日本維新の会の政策は、共通点と相違点が存在します。両党ともに「保守」の枠組みに位置付けられることが多いですが、改革へのスタンスや具体的なアプローチに違いが見られます。

共通点

  • 経済成長と規制改革: 両党ともに経済成長を重視し、そのために規制改革が必要であるという認識を持っています。特に、成長を阻害する「既得権益」の打破を掲げる点で共通しています。
  • 外交・安全保障の強化: 日本の安全保障環境が厳しさを増す中で、外交と安全保障体制の強化は両党の共通の政策課題です。防衛力の強化や、国際社会における日本の役割拡大を志向しています。
  • 憲法改正への意欲: 両党ともに憲法改正に積極的な姿勢を示しています。特に自衛隊の明記や緊急事態条項の整備などは共通の論点となりえます。
  • 行政改革: 無駄の削減や行政のスリム化、公務員制度改革など、行政改革の必要性については共通の認識があります。

相違点

1. 改革へのスタンスとスピード感:

  • 日本維新の会: 「身を切る改革」をスローガンに掲げ、統治機構改革(首相公選制、一院制、憲法裁判所の設置など)や地方分権の推進(道州制、副首都構想など)といった、より抜本的で先鋭的な改革を強く志向しています。既得権益の打破を徹底的に追求する姿勢が際立っています。
  • 自由民主党: 長年政権を担ってきた与党であり、これまでの制度や政策の「継続性」を重視する傾向があります。改革の必要性は認識しつつも、現状との整合性や安定性を考慮した、より漸進的なアプローチを取ることが多いです。特に石破政権の場合だと何もしない事が政策になっています。

2. 財政・社会保障政策:

  • 日本維新の会: 「社会保険料を下げる改革」を掲げるなど、現役世代の負担軽減を強く打ち出しています。高齢者医療費の自己負担割合の引き上げなど、より大胆な社会保障制度改革を提案しています。また、消費税・所得税・法人税の「フロー大減税」を断行し、個人消費と企業投資を促進することで経済成長を目指す方針です。
  • 自由民主党: 物価高対策として賃上げや最低賃金の引き上げを重視しつつ、社会保障制度については持続可能性を確保しつつ、国民の安心を維持する方向で制度の見直しを進める傾向があります。見直しを考えるだけでいつまでに改善するなど具体的な方向性は濁しています。

3. 教育・子育て政策:

  • 日本維新の会: 「教育の無償化」から「子育ての無償化」へと、より広範囲な無償化を掲げています。義務教育に加え、幼児教育・高校における所得制限のない完全無償化や、0-2歳児の保育無償化、出産費用の無償化なども提唱しています。また、「子どもの数が多いほど税負担が軽減される制度(N分N乗方式)」の導入も視野に入れています。
  • 自由民主党: 高校授業料の実質無償化をはじめとする教育費の負担軽減を進めていますが、日本維新の会ほど対象範囲を広げた完全無償化には言及していません。子育て支援は重視しており、多子世帯の大学授業料無償化などを進めています。こども家庭庁を創設するなど対策しようとはしていますが、具体的な政策はあまりありません。

4. 地方分権と都市政策:

  • 日本維新の会: 中央集権体制と東京一極集中を打破し、地方分権、多極分散型の国家構造の実現を強く主張しています。そのための第一歩として首都機能を担える副首都大阪を創設し、中央省庁をはじめとした首都機能の一部を移転することを掲げています。
  • 自由民主党: 地方創生を掲げ、地方の活性化に取り組んでいますが、日本維新の会のような抜本的な「統治機構改革」や「副首都」構想には言及していません。省庁の地方移転を考えたりしていますが、官僚などから反対を受け、考えるだけにとどめています。

■ 議席数で見ても合理的なパートナー

衆議院では、自民党は196議席。過半数の233には37議席足りません
公明党の24議席では届かない
維新の38議席を加えれば、ギリギリ過半数を確保できます

公明の議席数も合わせれば258議席となり余裕の過半数となりますね。

参議院でも同様です。
自民(101)+公明(21)=122で、過半数125に3議席足りず
維新(19)を入れれば圧倒的安定多数となり、憲法改正の2/3ライン(166)にも近づきます。

議席数としては申し分のない連立先ですね。

■ 維新も「全国展開の壁」にぶつかっている

維新は大阪を中心に勢力を広げてきましたが、

  • 衆院選では公明党を駆逐し、参院選でも4議席中2議席獲得するなど大阪では圧倒的に強い
  • しかし、全国的な支持拡大は頭打ち状態

無理に全国政党を目指して対決路線を続けるより、
大阪を守りつつ、自民と組んで実務的に政策を進めるほうが得策です。

しかも今は自民はとても困っている状況で、維新の政策を最も受け入れやすいタイミング。
最大限の譲歩を引き出せる「交渉のゴールデンタイム」とも言えます。

大阪を正式に副都心として認めさせて再開発の予算を引っ張ってきて、国民の血税を新しい大阪のために使う提案が出来るかもしれません。

大阪以外の支持を拡大出来ない維新にとってはいい交渉が出来そうですね。

選挙協力という視点で見ても、もはや大阪では維新に適いませんが、それ以外の地域では維新に勝てるので、大阪とそれ以外の地域で選挙協力すれば躍進する国民民主や参政党に対して対抗できる組織票を得る事ができます。

維新にとっても大阪などの勝てそうな地域で自民と選挙協力をすれば議席数はより盤石になりますね。

■ 公明党は不満

公明党としては当然、不満でしょう。

大阪を中心とした都市部に支持基盤を持っていますが、衰退傾向が表れ始めました。

組織票でも勝てなくなってきていますし、影響力の低下は免れません。

1. 政策決定における影響力と存在感の低下

  • 影響力の希薄化: 現在、自民党は国会運営や政策決定において公明党の協力が不可欠であり、公明党の意見や要望が政策に反映される余地が大きくあります。しかし、日本維新の会という新たなパートナーが加わり、議席数が安定多数となることで、自民党は公明党だけに依存する必要が薄れます。これにより、公明党が政策決定過程で発揮できる影響力が低下する可能性があります。
  • 「ブレーキ役」の役割の相対化: 公明党はこれまで、自民党の政策、特に安全保障や憲法改正などにおいて「ブレーキ役」としての役割を担ってきました。しかし、日本維新の会は自民党よりも憲法改正や安全保障政策に積極的であり、公明党がブレーキ役を果たそうとしても、日本維新の会がアクセルを踏むことで、その役割が相対的に弱まる可能性があります。

2. 選挙協力への影響

  • 「選挙の組織票」の価値の変化: 公明党が自民党にとって重要なのは、その組織票(特に創価学会の票)が衆参選挙の小選挙区において非常に強力な集票力を持つためです。しかし、日本維新の会が連立に加わることで、自民党は選挙協力を公明党だけに頼る必要がなくなるかもしれません。日本維新の会は大阪を中心に勢力を維持しており、一部の選挙区では公明党の票以上に影響力を持つ可能性も出てきます。
  • 選挙区調整の複雑化: もし公明党と日本維新の会が同じ連立の枠組みに入る場合、衆議院の小選挙区での候補者調整がこれまで以上に複雑になる可能性があります。特に維新が強い大阪周辺の選挙区では、公明党も候補者を絞る事となり、より議席数を減らしてしまうかもしれません。

3. 政権内での立ち位置の不安定化

  • 「選択肢」の登場: 自民党にとって、公明党は唯一の安定した連立パートナーでしたが、日本維新の会という新たな「選択肢」が加わることで、公明党の連立内での立ち位置が不安定になる可能性を孕みます。
  • 連立離脱の圧力: 公明党が、政策決定における影響力の低下や、選挙協力での不満などを募らせた場合、連立を巡る駆け引きが活発化し、場合によっては連立離脱をちらつかせるような動きも出てくるかもしれません。しかし、その場合でも、日本維新の会が控えているとなると、公明党の交渉力は限定される可能性があります。

4. 党内基盤への影響

  • 支持層からの不満: 公明党の支持層の中には、自民党の政策に公明党が「ブレーキ役」として機能することを期待している人々も少なくありません。日本維新の会が連立に加わることで、維新の主張が強く反映されるようになると、公明党の支持層から不満の声が上がり、党の求心力に影響を与える可能性もあります。

もちろん、これはあくまで可能性であり、実際の政治は複雑な交渉と駆け引きによって動きます。公明党もこうした状況を予測し、独自の戦略を立ててくるでしょう。例えば、自民党に対してこれまで以上に強い要求を突きつけたり、あるいは独自色をさらに打ち出すことで、存在感の維持を図るかもしれません。

■ なぜ他の野党ではダメなのか?

政党なぜ組めないか
立憲民主党反自民が存在意義。連立すれば崩壊。
国民民主党財務省と真っ向対立。現在拡大中で強気。
参政党拡大中の段階で、連立入りは支持層からの裏切りと見られる。

立憲民主党

  • 「反自民」が党の存在意義:
    • 立憲民主党は、自民党政権への対抗軸として結党され、その存在意義の核に「自民党政治からの転換」を掲げています。連立を組むことは、この党の根幹を揺るがし、「反自民」を支持する有権者層からの深刻な信頼喪失に繋がりかねません。
    • 長年の政権交代を目標とする歴史的経緯もあり、自民党との連立は、これまで積み上げてきた党のアイデンティティを完全に否定することになります。
  • 政策的な隔たり:
    • 安全保障、憲法改正、経済政策、社会保障、原発政策など、主要な政策分野において自民党とは明確な路線の違いがあります。特に、集団的自衛権の行使容認や原発再稼働、防衛費増額など、自民党が推進する政策に対しては強い反対姿勢を取っています。これらの政策の不一致は、連立政権内での摩擦を生み、機能不全に陥る可能性が高いです。
  • 支持層の反発:
    • 立憲民主党の主要な支持層は、護憲派、反原発派、格差是正を求める層など、自民党の政策に批判的な人々が多くを占めます。連立を組むことは、これらの支持層からの強烈な反発を招き、党の崩壊に繋がりかねません。

国民民主党

  • 財務省との対立軸:
    • 国民民主党は、特に経済政策において、増税路線や歳出削減を重視する財務省の方針に強く異を唱える傾向があります。積極財政論を掲げ、賃上げや投資への大胆な財政出動を主張しており、緊縮財政的な側面を持つ自民党(特に財務省の影響下にある部分)とは根本的な考え方に隔たりがあります。
    • 自民党は政権与党であるため、財務省との調整は避けられません。国民民主党が連立入りすれば、この財務省との対立構造が政権内にも持ち込まれ、政策決定が非常に困難になることが予想されます。
  • 現在拡大中で「強気」:
    • 近年の選挙で一定の議席数を確保し、特に労働組合などの支持基盤も持つ国民民主党は、党勢が拡大傾向にあると感じています。このため、現状で自民党の「下請け」のような形で連立に入ることに抵抗感があると考えられます。独自の存在感を維持し、政策実現の主導権を握りたいという思惑が強いでしょう。
  • 政策の一部で自民党と類似点もあるが…:
    • 「現実的な政策立案」を掲げ、一部の政策(例えば原発の活用や防衛力強化の一部)で自民党と議論の余地があるように見える面もあります。しかし、前述の経済政策での大きな違いや、党の立ち位置としての独立性を重視しているため、連立へのハードルは高いです。

参政党

  • 拡大中の段階で「裏切り」と見られるリスク:
    • 参政党は、既存政党への不信感を背景に、独自の主張(食料安全保障、子育て、教育、健康など)で支持を広げてきた比較的新しい政党です。彼らの支持層は、既存政治へのアンチテーゼとして参政党を支持している側面が強く、自民党との連立は「これまでの主張の放棄」「既存政治への合流」「支持層への裏切り」と見なされる可能性が極めて高いです。
    • 党がまだ成長途上にあり、独自の路線と理念を確立しようとしている段階で、既存の最大与党に吸収されるような形での連立は、党の独自性を失わせ、支持離れを招くリスクが大きいです。
  • 政策的な独自性と急進性:
    • 参政党は、主流派メディアや既存政党が十分に扱わない、あるいは既存の政策とは異なる独自の視点から政策を提言しています(例:食料自給率向上、ワクチン接種への慎重論、教育改革など)。これらの政策は、自民党の主流派とは大きく異なるものが多く、連立政権内で整合性を取ることは非常に困難です。
    • 特に、科学的知見や国際的な潮流と異なる主張も含まれるため、連立内でこれらを公式な政策として合意形成することは極めて難しいでしょう。

■ 「守りの連立」がもたらすもの

この自民×維新の連立は、派手な改革ではなく、
混乱を避けるための現実的な布陣です。

  • 自民:求心力維持と政権安定、今後の選挙対策
  • 維新:政策実現と地盤強化、大阪の発展
  • 公明:存在感の低下

激動の時代における静かな政権再編
これは「攻め」ではなく、「守りの一手」。
しかし、時にそれが最も強い。

石破総理の処遇が決まればすぐにでも発表されそうです。

星凜的 締めの論評

・・・なるほど、選挙に負けた者たちが集まり、権益を守るために“再編”を始めたのですね。
それは「連携」ではなく、落ちぶれた者同士の“合体”です。

政策実現のための連立?とんでもない。
これは、支持を失った政治家たちが、椅子を守るために寄り合っているだけ。

いずれ国民は気づくでしょう。
「何かを変えるため」ではなく、「何も変えないため」の連立だったのだと。

これは始まりではありません──“終わりの始まり”です。

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